「うちのお兄ちゃん、高校に入ったら全く勉強しなくなって困ってるんです。○○塾さんに高校部があったらよかったんですけど。」

以前勤めていた学習塾で、卒業生の弟くんの保護者面談の際に頂いた言葉です。もちろんポジティブな意味で仰っていただいたのですが、この言葉には学習塾の抱える問題点が内包されていて、私の頭の中に深く残っています。

学習塾の至上命題は生徒の成績を上げることです。定期テストの点数を上げ、志望校に合格させることが何より求められています。

しかし、これを実現するために、多くの学習塾では生徒に「あれをやりなさい」「次はこれをやりなさい」と、一から十まで指示を出してしまいます。言われたことはきちんとやる真面目な子の場合、ある程度成績は上がります。しかしその代償として、指示されないとやらない、あるいはやれない、 依存型の学習を生徒に身につけさせてしまうかもしれません。

自分の頭で何をすべきか考え、実行するというのは、中学生にはかなり高い要求です。しかし、まだ子どもだからと問題を先送りにしては、高校生活やその先のステージで生徒に苦労をさせてしまいます。成績を上げることと、自立型の学習を身につけさせること。この２つを両立することが、私の大きな目標の１つとなります。